よびかけ文〜会の趣旨

 2015年10月28日

「障害年金法研究会」

 障害のある人にとって、障害年金はその生活を維持し、豊かにし、将来の夢を描くために必要不可欠な権利です。しかし、障害年金は必要な人に必ずしも行き届いていません。家族や支援者がいない一人暮らしを想定して判断するべき「日常生活能力」について家族の支援を前提に高く認定するなど、年金制度の趣旨を理解しない不適切な診断書の記載により不支給とされた例、発達障害等の「生きづらさ」が適切に評価されずに不支給になる例、カルテが廃棄されて初診日が証明できずに不支給になる例、働いてわずかな給与を得たため打ち切りになった例など、不合理な不支給事例が数多く存在します。また、行政窓口で申請書式を渡さない、申請書を受理しない等の法令違反も日常的に横行しています。近年では支給率に関する地域間格差にも焦点が当てられ、国の検討が進められていますが、一番低い水準に均すための「改悪」にならないよう、その動向には注視が必要です。

 不服申立の制度として、審査請求、再審査請求、司法手続としては仮の義務付け申立て、取消訴訟・義務付け訴訟等がありますが、ただでさえ法的知識のない人には躊躇される手続きである上、年金保険独自の分かり難い仕組みやルール、不適切な窓口対応、重箱の隅をつく「返戻(ヘンレイ)」等の「悪しき業界慣行」が専門知識のない方にとって権利行使の高い壁となり、多くの事例で泣き寝入りを強いられているのが実情と思われます。

 そこで、障害年金を必要とする人に確実に行き届くようにするため、障害年金問題に関わってきた(あるいはこれから関わろうと志を持つ)社労士、研究者、弁護士等が、具体的事案を通じて研鑽を重ね、ノウハウを習得し、協力しながら解決に当たるべく、「障害年金法研究会」を立ち上げます。

 

 当研究会は、

①具体的事案について協働して解決に当たること

②学習会・研究会を通じて障害年金問題について研鑽を重ねること

③制度や運用についての問題点を把握し、問題提起や提言を行うこと

を活動の内容としていきたいと考えています。

 

 研究会は3か月に1回程度の開催を目標としています。

 そのうち年2回程度を第1回のように基礎的知識習得のための「障害年金入門講座」学習会として適宜織り込み会員の基礎力アップを図りたいと思います。

 

 また、専門分野の異なる混成チームでもあり、当面は、できるだけ顔の見える関係で集まり、メンバー同士の距離を縮めるよう心がけたいと思います。

 

 ただ、日常的な意見交換については、MLも活用します(「一般会員MLの概要」参照)。長期的な目標としては、全国どこでも障害年金問題に対応できる専門家の相談体制ができること、やがて国の政策へも影響力をもつ団体に育っていくことを目指していきたいと考えています。